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【症例報告】むし歯 歯ぎしり 咬み合わせ

今回は虫歯の症例を見ていただきます。

患者さんは20代男性です。

主訴は「前歯に虫歯が出来たみたいで茶色くなっているのが気になる。」です。



矢印のところに『むし歯』が出来ています。

お口の中を精査させていただきましたが、親御さんはさぞお子さんのお口に対しての意識の高い方だったのでしょう。

奥歯の溝には『シーラント』と呼ばれるむし歯を予防する処置が認められました。

親御さんのお陰もあってか喜ばしいことに『むし歯』はこの前歯の一本だけでした。

そこで「あれ?」と思われることはありませんか?

磨きにくい奥歯ならいざ知らず、こんなどんなに不器用な人でも磨けそうなこの前歯だけが『むし歯』?

何故?と疑問に思われませんか?

まずは普段の食生活について聞いてみました。

すると、

①野菜ジュース

②スポーツドリンク

を良く飲まれるとのことでした。

どちらも『むし歯』を作り難そうに思われるかもしれませんが

まずスポーツドリンクは糖度が高くとっても『むし歯』を作りやすいのです。

そして、野菜ジュース、一見『むし歯』とは関係なさそうですが成分表示にだいたい「果物」が記載されているはずです

野菜だけだと味が美味しくないので「果物」が入れてあることが多いように思います。

「果物」にふくまれる「果糖」は立派に『むし歯』を作る代表格ですので注意が必要かと思います。

その他で注意の必要な食べ物・飲み物としては

飴、ソフトキャンディー・乳酸菌飲料・お酢などにも注意が必要です。

鞄やポケットから飴ちゃんが出てくる方は要注意!です。

あと、経験上、料理を生業とする方塗装業に携わっておられる方も『むし歯』のリスクが高いように思います。

 

話をもとに戻しましょう。

いくらむし歯を作りやすい飲み物を摂っていたからといって前歯にだけ『むし歯』を作ってしまった理由にはならないかと思います。

 

お口をもうちょっとしっかり見ていきましょう。



お口のベロの状態です。

この方もベロが喉の奥に下がってしまっています。

睡眠時には気道が閉塞して『呼吸』に問題が出ている可能性があります。



下顎の内側に『骨隆起』という骨の盛り上がりが認められます(矢印)。



上顎の天井部分にも同じように『骨隆起』を認めました(矢印)。

この『骨隆起』は強い『喰いしばり』や『歯ぎしり』をする方に認められます。

つまりこの方は睡眠時に『呼吸』をするため強い『歯ぎしり』をしていることが推測されます。
 


咬み合わせてもらった状態での正面観です。

なにが問題なのでしょうか?

まず、噛み合わせが深い(上の前歯が下の前歯をほとんど隠してしまっている状態)、さらに上の前歯と下の前歯の真ん中が合っていない!

かなり右に、『むし歯』のある方側に寄ってしまっているのがおわかりでしょうか?

まず、嚙み合わせが深くなってしまった理由として普段から前歯を使って食事をする習慣がないことが考えられます。

前歯を使うのが苦手な方は固いものを食べるのが苦手です。固い歯応えのある食べ物はしっかり噛み砕かないと飲み込めず口の中に長く滞在します。一方歯応えの無い軟らかい食べ物はすぐ飲み込めてしまうため口の中にいる滞在時間が短いために濃い味付けにしないと味が薄く感じられてしまいます。聞いてみると案の定「硬いものが苦手」「濃い味付けが好き」でした。日常的な食事でも砂糖と塩分を多量に摂取していることがうかがわれます。

そしてこの方は歯の真ん中があっていない右に顎がずれた状態です。

『歯ぎしり』の際には顎は右に向けてギリギリしているはずです。

そして、さらにこの『咬み合わせの深さ』!

『歯ぎしり』の強烈な力が右前歯にガチン!

そしてスポーツドリンク・野菜ジュース

普段の食事における糖分摂取量

これらすべてが重なった結果が右前歯のみ『むし歯』という状態になったのではと推測します。



『むし歯』を除去したところです。



プラスチックの樹脂を詰めて修復したところです。

おそらく、この『咬み合わせ』を治療しない限りは『むし歯』の再発リスクは高まると思われます。

どんなに頑張って歯ブラシしたとしてもです!

『むし歯』の所は接着剤でプラスチックを張り付けただけです。『歯ぎしり』の強い力に半永久的に耐えられるわけがありません。

全ての『むし歯』の発生原因は歯ブラシによる細菌除去だけに起因するものではありません!

『咬み合わせ』も重要なのです!

それも睡眠時の『咬み合わせ』です!

 
自分は大丈夫なのか…?

不安に思われたらぜひ一度ご相談ください。

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【症例報告】歯牙移植 親知らず 抜歯

今回も『歯牙移植』について報告させていただきます。

患者さんは30代女性です。

主訴は「むし歯を治療したい」でした。

初診時の口腔内です。



問題の第一大臼歯は大きく崩壊しており

長期に渡り放置されたためか歯の中に歯ぐきがポリープ状に盛りだしてきていました。



『舌』に筋力が無く咽頭部に落ち込んでいる状態です。


 
口蓋と呼ばれる口の中の天井部分に大きな『骨隆起』を認めました。

普段から強い『歯ぎしり』をしていることが伺えます。

レントゲン写真です。



3つある根っこはそれぞれ分離してしまい

崩壊も著しかったため保存することが困難であると判断し『抜歯』することを患者さんに説明し同意を得ました。

『抜歯』予定の第一大臼歯の後方に第三大臼歯である『親知らず』がありましたのでこの必要ない歯を『移植』することを患者さんに勧めてみました。

第一大臼歯を『抜歯』した後は『ブリッジ』という抜いたところの手前の歯とその後方の歯を削って橋渡しをして修復する方法が一般的ですが、それだと『むし歯』でもなんでもない手前の歯を削らなくてはならず、

なおかつ、もともと無い第二小臼歯と『抜歯』予定の第一大臼歯の2本分の長い橋渡しが必要になってくるため強い『歯ぎしり』をされるこの患者さんにはお勧めできないと考えられました。

患者さんにも納得していただきましたので、保存困難な第一大臼歯は『抜歯』した後、同部位の後方にある『親知らず』を『移植』することとなりました。



矢印の『親知らず』を



矢印の第一大臼歯のところに



こんな感じで『移植』しました。



『移植』後はなるべくストレスがかからないようにするため

隣りの神経の無い第二大臼歯にちょっと手伝ってもらって内部にワイヤーを仕込んで連結させてもらいました。



『移植』後のレントゲン写真です。欲を言えばもう少し深く『親知らず』が抜いたところの穴に深く入ってくれたらと思いましたが、歯の根っこの直ぐ上にある「鼻の穴」との兼ね合いもありましたので、ここまで良しとしました。

現在は経過を見ているところです。

しっかりと生着したら後方の第二大臼歯とつないで被せを入れる予定としております。

『インプラント』や『ブリッジ』は確かにとても良い方法であると考えられます。

しかし、その選択肢のひとつに

「歯をむやみに削らない!」「保険診療でもできる!高額な自費治療でない!」

 

『移植』という方法があっても良いのではないかと思っております。


【症例報告】親知らず 抜歯



今回は『親知らず』の抜歯について報告させていただきます。

『親知らず』を「抜く」か「抜かない」か

先生によってもいろいろ説明が違うので「いったいどうすればいいの!」と迷っておられる方も多々いらっしゃるとは思うのですが

わたしは断然「抜く」派です。

「抜く」ことに意味があるからこそ

当院に来ていただいた患者さんには納得していただいて「抜く」という選択をお勧めしております。

親知らずをなぜ「抜く」必要があるのか?


「腫れる」から?「むし歯になっている」から?

いいえ、腫れてなくても虫歯になっていなくても、はたまた上下綺麗に生えそろっていたとしてもわたくしは「抜く」ことをお勧めします。

では、なんのために「抜く」のか?


理由は『歯ぎしりの邪魔をする』からです。

は?

なんじゃそりゃ?

『親知らず』が『歯ぎしり』となんの関係が?

そもそも邪魔したからってなんの意味があるの?

そうですよね

ごもっともです

でもとっても大切なことなのです。

『親知らず』を「抜歯」した患者さんの症例

患者さんは40代女性

主訴は「むし歯を治療したい」です。

初診時の患者さんのお口の中です。





この患者さんは絶対に『歯ぎしり』をしておられます。

なぜそう断言できるのか?

まず、歯並びの不正があります。歯並びの不正の原因としては永久歯の並ぶスペース不足です。

スペースが無いからこそ歯が重なってたり本来あるべき位置に生えていないわけですよね?

では、なぜスペースが出来なかったのか、原因は『舌』です。

乳歯から永久歯に生え変わる際、スペースを作るのは『舌』の役目です。

『舌』が内側から外に向けて骨を拡げることによりスペースが出来るのです。

ということはこの方はもともと『舌』に力の無い方であると言えます。

次に、横になってもらった状態でお口を開けていただくと『舌』が喉の奥に落ちてしまっているのが見えます。

加齢とともに身体の筋肉量が低下していくのと同様鍛えられることがなければ『舌』の筋力も低下します。

それにより、重力により睡眠時に『舌』の咽頭部への沈下が起こっていることが伺い知れます。

この『舌の沈下』により、そのすぐ後ろにある空気の通り道である『気道』は『舌』により封鎖されてしまいます。

『気道』が封鎖されることにより、夜寝ると息が出来なくなって呼吸困難に陥ります。

身体は酸素を欲しがって呼吸の邪魔をしている『舌』をどかしたいのですが筋力が低下していると『舌』は重力に負けて動きません。

そこで、動かない『舌』の代わりに下の顎をギリギリ前方に持ち上げて顎を前に出すことで『気道』を塞いでいた『舌』も一緒に持ち上げて『呼吸』をします。

この時ギリギリするのが『歯ぎしり』です。

 

もともと『舌』に力が無いうえに加齢による筋肉量の低下がみられるため

『歯ぎしり』をしていると断言できるのです。

 

お口の中をさらに良く見てみましょう。



 

歯の咬み合わせの部分はエナメル質という硬い組織が摩耗によってはぎ取られ内側の象牙質(黄色っぽいところ)が見えてきています。



患者さんのレントゲン写真です。

白い矢印が『親知らず』です。

この方は上下左右に『親知らず』がまっすぐしっかりと生え揃っておられます。

きちんと噛んでいますから、抜かなくても良いように思います。

ただ、それは「食事をするとき」だけの話です。

レントゲン写真に線を引いてみました。

下の『親知らず』が存在すれば、下の顎の歯並びは奥に向かうにつれ高くなっていき引いた線の角度は奥に向かうにつれ急になっていきます。

「食事をするとき」にはなんの問題もないかもしれませんが『歯ぎしり』するときにはこの『親知らず』は邪魔なことこの上ないです。

『呼吸』をしたいがために下の顎は前に出ていきたいのですが『親知らず』が赤い矢印の方向に動こうとすると上の第二大臼歯にぶつかって下顎が前方に動く邪魔をします。

そして、上の『親知らず』ですが、下顎が前に動いていくならば上の『親知らず』は下のどの歯ともぶつかることがなく一見『歯ぎしり』の邪魔にはならないように思われます。

しかし、この上の『親知らず』がぶつかる所があります。

それは、下顎のL字になっている縦の骨の部分正確には筋突起と呼ばれる下顎の骨が当たって『歯ぎしり』の邪魔をするのです。

 

『舌』の筋力がなく持ち上げて気道を開いて『呼吸』をすることが困難なこの方がさらに『歯ぎしり』も困難であったとしたらどうでしょう?

睡眠時にはしっかりした『呼吸』ができず、身体がつらくなってゆくことでしょう。

「食事をするとき」の問題ではなく、「寝るとき」の咬み合わせのためにこの『親知らず』は抜かなくてはならないのです。

 

患者さんには上記の内容をお伝えして『抜歯』の了承を得ることが出来ましたので、

さて、『抜歯』へ

いざ!

 

患者さんに安心していただこうと「○○さんの親知らずは真っすぐに生えているから抜くのなんてあっという間ですよ~」なんて軽口たたきながら

抜こうとしたらこれがうんともすんとも言わない…

 

背中にびっしょり汗をかきながら「おかしいですね~」って、

四苦八苦しながらようやく抜くことができました。

 

抜いた歯がこれ!





ド根性大根ならぬ、『ド根性親知らず』!

みごとな曲線美!

ほぼ直角に曲がった根っこのせいで抜けなかったのですね。

根っこが折れなくて良かった良かった。

 

抜くのに時間はかかりましたが、翌日の消毒に来られた際にはまったく痛みも腫れもなかったとのことでさらに一安心です。

結局、この方は上下左右4本とも『親知らず』を抜かれました。

 

『親知らず』を抜く理由は、「むし歯」「腫れ」ではありません!

『歯ぎしり』の邪魔をして『呼吸』のしかも『睡眠時の呼吸』の妨げとなるから『抜歯』が必要なのです!

 

『親知らず』抜こうか?どうしようか?

悩まれておられるならぜひ、一度ご相談ください。

【症例報告】むし歯治療 白い 詰め物

むらかみ歯科クリニック 今回は『むし歯』の治療の症例報告をさせていただきます。

患者さんは20代女性です。

主訴は「下の歯が欠けた」とのことでした。

初診時の状態です





矢印の所が大きな『むし歯』になってます。

歯と歯の間は糸ようじや歯間ブラシを普段から使用していないと汚れが停滞しやすく虫歯の良く出来る場所です。

ここで不思議なことに気がつきました

汚れが歯と歯の間に停滞したことで『むし歯』を作ったのならば、隣の歯ももれなく『むし歯』になってもおかしくないのに『むし歯』になっていないのです。

汚れが停滞して『むし歯』が出来たとするならば何故お隣の歯は『むし歯』にならなかったのでしょうか?

むし歯になった歯とならなかった歯にはどんな違いがあったのでしょうか?

一番に考えられるのは『咬み合わせ』です。

『むし歯』になった歯には歯と歯の間の所に『咬み合わせ』の強い力がかかっていて、その力によりヒビをつくってしまいそこから細菌の侵入を赦してしまったことが『むし歯』を進行させてしまった原因ではないかと推測されました。

 

『咬み合わせ』が原因で『むし歯』ができてしまったのであれば当然この場所は『むし歯』の再発のリスクが高い場所です。

歯ブラシや定期的なクリーニングはコントロールしていくことが可能ですが、『咬み合わせ』の力は患者さん本人だけではコントロールしにくいからこそです。

 

『むし歯』を治すにあたって『咬み合わせ』による再発リスクが高いことが考えられたため、なるべく欠けたり壊れたりしない金属の詰め物での治療を勧めさせていただきましたが、上の歯なら見えないかもしれませんが『むし歯』はここだけで20代の女性、オマケに下の歯!口を開ければ金属がキラリ!はさすがに抵抗があったようで白い樹脂(プラスチック)の詰め物を選択されました。



『むし歯』を綺麗に取り除き咬み合わせには細心の注意を払って修復させていただきました。



ただ、歯にヒビを入れるような強い力は普段脳が起きている状態では起こりにくく、起こるとするならば睡眠時の『歯ぎしり』による可能性が高いため通常の咬み合わせの調節では不十分であることから就寝時における『マウスピース』の使用をお勧めさせていただきました。

現在『親知らず』を抜歯後、『マウスピース』を製作予定となっております。

【症例報告】抜歯 歯根破折 骨隆起 咬み合わせ

今回は、『歯根破折』

歯が割れてしまった症例をみていただきます。



↑↑レントゲン写真です。

根っこが真っ二つに割れているのが確認できます。

口の中を覗いてみましょう。


矢印のところでパックリ割れています。
何故割れてしまったのでしょうか?



少し引いた状態をみていただいています。

矢印の所なんだか腫れたみたいに盛り上がっているのがお分かりでしょうか?

これは腫れているのではなく

骨が盛り上がっている状態です。

骨が隆起したものなので『骨隆起』と呼ばれています。

悪性のデキモノや、炎症からくる腫れではありません。

『骨隆起』ですがどうして出来てしまうのでしょう?

この『骨隆起』ですが、歯と歯の『咬み合わせ』によって力のかかる場所に出来ると言われています。

まだはっきりとしたメカニズムは解明されておりませんが、嚙み合わせのとくに力のかかる所に出来て異常な嚙み合わせの力から骨を守るように厚くなると言われています。

と、言うことはこの場所にはとっても強い力が加わったことにより歯が割れるという事態が発生したのではと考えられます。

 

話は変わりますが、

ネットや雑誌などいろいろなところで

「成人の8割が歯槽膿漏に罹患していて、歯を抜く一番の原因は歯槽膿漏である」

という言葉を良く目にします。

私はそうは思いません。

なぜなら、当院で抜歯になる理由ナンバー1は『親知らず』で

その次はこの『歯根破折』です。

歯槽膿漏でぐらぐらになった歯を抜くのなんて年に数本です。

おそらく、数えたら両の手で足ります。

今回のように明らかに割れているのが確認できればはっきりと『歯根破折』と診断できるのですが、

割れて間もない場合は鑑別が非常に困難です。

割れた部位には歯を支えていた骨がつかなくなり『歯槽膿漏』と似たような症状を呈するため、『歯槽膿漏』と診断されてしまうかもしれません。

 

歯を割ってしまうような強力な力とはなんでしょうか?

私は『歯ぎしり』以外に無いと思います。

我々歯科医師の治療の仕方にも多少なりとも原因はあると思いますが、食事中に割れるほど歯を噛むことがあるでしょうか?

脳が覚醒している状態で割って痛みを伴うほど力を入れるでしょうか?

寝ている時の『歯ぎしり』ならば可能性はあります。

「いや、食事してたらバキって音がして割れたよ」

ということもあるかもしれませんが、夜寝ている時にヒビが入っていて食事中に決定的に割れたとはかんがえられないでしょうか?

 
自分の歯で一生食べる、一本も失わせない。

非常に重要なことです。

『歯ブラシ』によるセルフケアと『定期的メンテナンス』によるお口のクリーニングだけで

一生自分の歯で食べる、一本も失わせないことが実現可能でしょうか?

従来言われてきた『歯ブラシ』と『定期的メンテナンス』以外に『噛み合わせ』しかも夜寝ている際の『噛み合わせ』に対処しておかなければならないと私は考えます。

 

是非一度『噛み合わせ

特に『寝ている時の咬み合わせ』は正常なのかどうかご相談にいらしてみてください。


【症例報告】咬み合わせ 歯ぎしり

患者さんは出産を数ヶ月後にひかえられた30代女性です。

妊産婦健診で当院を受診されました。

初診時の口腔内の写真です。



咬んでもらった状態です。



お口を開けてもらった状態です。

妊婦さんということでレントゲン写真はNGでしたので完全な精査とはいきませんでしたが、とてもよくお手入れされていてむし歯も虫歯を治療しているところもありませんでした。

はたから見るとなんの問題もないように思われるこの方ですが今現在は良くてもこれからいろいろとお口のトラブルや、身体の不調を訴えられるようになるのではないかと思いました。

さて、なにが問題なのでしょうか?


まず、最初の咬んでもらった状態の写真から、

問題は「咬み合わせた際下の前歯が上の前歯に隠れて全く見えていないこと」

次に、お口を開けてもらった状態の写真から、

「ベロが下がって喉の奥に落ち込んでしまっていること」「矢印のところに親知らずがあり、ひとつ手前の奥歯より飛び出てしまっていること」が

問題点として挙げられます。





上顎の天井部と下顎のベロ側の骨に立派な『骨隆起』が認められます。

『歯ぎしり』を強くされる方にはこの『骨隆起』が認められます。

 

この方は普段からベロを使って食事をしする習慣がなく「ベロの筋力」が低下しベロが重力に負け喉の奥に落ちてしまっている状態です。

ベロが喉の奥に下がっている方は『歯ぎしり』をします

以前にもブログ等で説明させていただいたかと思いますが

もう一度おさらいさせてください。

 

『歯ぎしり』する理由は『呼吸』しかも『睡眠時の呼吸』です。

原因は『舌』にあります。

「食生活」「加齢」などいろいろと理由は個人によって異なるとは思いますが、ベロが力(筋力)を失うと、ベロは上を向いて寝ると重力に負けて喉の奥に落ちベロのすぐ後ろにある『気道』を塞ぎます。

すると、睡眠時の『呼吸』が非常に困難になります。

口の中でベロを持ち上げて気道を開いて『呼吸』をしようと試みるのですがベロに筋力が無ければベロは持ち上がってくれません。

そこで、『歯ぎしり』が始まるのです。上がらないベロの代わりにベロがくっついている下顎をギリギリとスライドさせてベロを一緒に引っ張りあげて『気道』をひらいて『呼吸』をするのです。

ただ、この『歯ぎしり』がすべて悪いというわけではありません、

この方の最大の問題は『歯ぎしり』し難い環境にあることなのです。

 

最初の写真で下の歯が見えていないということは、下顎が前に出ようとするのを上の前歯が邪魔しているように見えませんか?

親知らずが出っ張っていたら引っかかって『歯ぎしり』の邪魔しそうじゃないです?

 

『歯ぎしり』がし難いということは『睡眠時の呼吸』が上手く出来ていないということになるのです。

この方は妊婦さんです。お母さんが夜しっかりとした睡眠が取れていないと疲労とか、健康面で問題であると思いますが、お母さんが『睡眠時の呼吸』が出来ていなければきっとお腹の赤ちゃんも『酸欠』状態であるというのは考えすぎでしょうか?

 

そこで、『睡眠時の呼吸』『歯ぎしり』についてしっかりと説明させていただいたうえで

『歯ぎしり』の邪魔をしているものを取り除かせてもらうことにしました。

 

まずは、下顎の2本の『親知らず』の抜歯を行い。

次に『マウスピース』を装着して夜寝てもらうことにしました。



下顎に『マウスピース』を装着してもらった状態です。

咬んでもらいました。



下の前歯もしっかり見えてきて

これなら前歯が『歯ぎしり』の邪魔をしなさそうですよね?

これで、睡眠時に『呼吸』がしっかり出来るようになればお母さんもお腹の赤ちゃんもぐっすり眠れることでしょう!

夜しっかりした睡眠をとって元気な赤ちゃんが誕生してくれることを心から願っております!

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